この記事の要点
  • リサイクル産業の本質は物理ボトルネック=最終処分場の残余容量と、解体・選別・製錬のキャパシティが業界全体のスループット上限を決める
  • 日本企業の世界級ポジションは金属・貴金属系に集中(銅・E-Scrap=三菱マテリアル/JX金属、貴金属=松田産業/AREHD、イリジウム世界9割=フルヤ金属)
  • サプライチェーンを9階層(静脈物流→解体→装置→金属→プラ→紙→ガラス→処理→商社)に分解し、本命8/準本命5/関連4の17銘柄をピュアプレイヤー所属で位置づける
  • 政府は2030年までに約80兆円規模のサーキュラーエコノミー実現を目標化、官民で1兆円規模の投資を決定済。法制度・税制の追い風が構造的に続く
📖 はじめに — この記事で出てくる専門用語(クリックで開く)
  • 都市鉱山: 家電やスマホに使われた金・銀・銅・レアメタルが国内に蓄積された総量を、鉱山に見立てた概念
  • E-Scrap(電子廃基板): パソコン・スマホの基板を粉砕したスクラップ。銅・金・銀を高濃度に含む
  • 静脈産業: 動脈(製造・販売)に対して、廃棄物を回収・再資源化する「逆方向」の産業群
  • 製錬: 鉱石やスクラップから純度の高い金属を取り出す工程
  • メカニカルリサイクル: 物理的に砕いて溶かして再成形するリサイクル方式。プラスチックでは品質劣化が課題
  • ケミカルリサイクル: 化学反応(解重合・油化)で原料モノマーまで戻し、新品相当に再生する方式
  • マテリアルリサイクル: 素材として再利用する広義のリサイクル(メカニカルを含む)
  • サーマルリサイクル: 焼却して熱エネルギーとして回収する方式。EUの基準では「リサイクル」に含めない
  • 解重合: ポリマーを化学反応でモノマー(原料分子)まで戻す技術。PET・ナイロン等で実用化
  • カレット: ガラスの破砕屑。新規ガラス製造時の溶融原料として使用
  • 古紙利用率: 紙の原料に占める古紙の割合。日本は世界トップクラスで約67%
  • 水平リサイクル(トレーtoトレー): 同じ用途に同じ素材で戻すリサイクル方式。最も高品質
  • PGM(白金族金属): 白金・パラジウム・ロジウム・ルテニウム・イリジウム・オスミウムの6元素の総称

リサイクル産業とは — 静脈産業の本質

結論

リサイクル産業の本質は「物の流れの逆走」と「物理ボトルネック」である。廃棄物を集める静脈物流、素材ごとに分ける解体・選別、化学/冶金プロセスで素材に戻す再資源化、最終処分場という有限資源の4層が、業界全体のスループット上限を決める。

製造業を「動脈産業」と呼ぶのに対し、廃棄物を回収して素材に戻す逆流のサプライチェーンを「静脈産業」と呼ぶ。動脈と静脈の最大の違いは、集める対象が無価値からマイナスの価値で発生する点にある。家庭ゴミも産業廃棄物も、発生源は廃棄費を払って引き取ってもらう側であり、回収・収集の物流ネットワークそのものが参入障壁になる。

日本のリサイクル産業が世界級ポジションを持つのは、長年の家電リサイクル法・容器包装リサイクル法・自動車リサイクル法・プラスチック資源循環促進法といった個別品目ごとの制度設計で、回収率と再資源化率を法的に底上げしてきたためだ。とくに金属・貴金属の都市鉱山処理は、もともと鉱山採掘と製錬の歴史を持つ非鉄大手(三菱マテリアル/DOWA/JX金属/住友金属鉱山)が、鉱石原料からスクラップ原料へ徐々に転換することで成立している。プラスチックや紙でも、容器包装の店頭回収・古紙の高い利用率(板紙で9割超)など、収集網の細かさが日本固有の強みになる。

リサイクル市場の規模感

結論

政府はサーキュラーエコノミー市場を2030年までに約80兆円規模へ拡大する目標を掲げ、官民で1兆円規模の循環経済投資を行動計画化。市場拡大ドライバーは制度面・物理面の両輪。

政府は2030年までにサーキュラーエコノミー市場を約80兆円規模へ拡大する目標を掲げる(出典: 株探トップ特集「廃棄しない世界へ、80兆円市場が待つサーキュラーエコノミー関連株」2024年7月、取得日 2026-05-27)。さらに2026年4月、関係閣僚会議で官民合計1兆円規模を循環経済分野に投じる「循環経済行動計画」が正式決定された(出典: Invest Leaders 2026年取得 2026-05-27)。

物理面の構造的需要も強い。三菱マテリアル直島製錬所は電子廃基板(E-Scrap)の年間処理能力で世界トップクラスの11万トンを持ち、2030年に24万トン/年へ拡張する計画(出典: 三菱マテリアル直島製錬所公式、取得日 2026-05-27)。日本の古紙利用率は約67%(板紙単独では93%超)で世界最高水準、再生原料への置換余地は段階的に深まる(出典: 古紙再生促進センター、取得日 2026-05-27)。

80兆円
サーキュラーエコノミー市場 政府目標(2030年・出典: 株探特集 2024年)
1兆円
循環経済行動計画の官民投資規模(2026/04閣僚会議決定)
11→24万t/年
三菱マテリアル E-Scrap処理能力 → 2030年計画
67%
日本の古紙利用率(2023年実績・世界最高水準)

バリューチェーンの9階層分類

リサイクルバリューチェーンは「物が流れる順序」で理解するのが最も直感的である。本記事は同業既存特集が採用する「品目別グループ化」ではなく、サプライチェーン上で抜けたら全停止する位置はどこかを軸に9階層で分解する。

  • L1 静脈物流・回収・収集: 家庭・事業所・工事現場・工場から廃棄物を集める層。専門車両・回収拠点・収集運搬許可が参入障壁。トラックを毎日走らせるオペレーションが本質
  • L2 解体・選別・破砕: 集まった廃棄物を素材ごとに分ける層。プラント解体・建物解体の専門業者と、選別機・破砕機・磁選機・渦電流選別機などの装置が組み合わさる
  • L3 リサイクル装置メーカー: 解体機・破砕機・選別機・太陽光パネル分離装置などのハードウェア供給層。装置単価が大きく寡占的
  • L4 金属・非鉄リサイクル(都市鉱山): 銅製錬・貴金属回収・LiB(リチウムイオン電池)リサイクルを含む冶金プロセス層。日本企業の世界級ポジションが集中する中核
  • L5 プラスチックリサイクル: メカニカル(粉砕→ペレット化)とケミカル(解重合→モノマー回収)の二系統。技術選択が事業構造を分ける
  • L6 紙・パルプリサイクル: 古紙の脱インキ・再パルプ化。板紙では古紙9割超という成熟領域だが、製紙大手の中核事業
  • L7 ガラス・特殊素材リサイクル: カレット使用と蛍光体回収、太陽光パネルガラス分離など。純粋上場ピュアプレイヤーは少なく、ガラス大手+装置メーカーが代替
  • L8 廃棄物処理・産廃サービス: 中間処理(焼却・破砕・固化)と最終処分(埋立)。最終処分場の残余容量が業界最大の構造的希少資源
  • L9 商社・流通・サポート: スクラップを国内外に流通させる非鉄商社・総合商社。中国・東南アジアの規制変化が国内処理キャパに直結

関連銘柄 全17社 一覧

コード銘柄階層役割・世界シェア/特徴時価総額分類
5711三菱マテリアルL4E-Scrap処理能力 直島11万t/年 世界トップクラス、2030年24万t計画約6,701億円🟢本命
5714DOWAホールディングスL4非鉄製錬+環境リサイクル両輪、22元素リサイクル可能約6,228億円🟢本命
5016JX金属L4金属回収特許総合力 国内首位、銅製錬リサイクル50%目標(2040)約3.6兆円🟢本命
5713住友金属鉱山L4金属回収特許総合力 国内2位、LiB正極材ループ(Battery to Battery)約2.4兆円🟢本命
7456松田産業L4貴金属リサイクル国内大手、半導体製造廃液起点の安定発生源約1,646億円🟢本命
7826フルヤ金属L4有機EL用イリジウム化合物 世界シェア約9割、HDD用ルテニウム7割約2,110億円🟢本命
5857AREホールディングスL4/L8貴金属サーキュラー回収専業(旧アサヒHD)、二輪ピュアプレイヤー約2,806億円🟢本命
9336大栄環境L1/L8関西地盤の総合廃棄物、経常利益率約27%の業界最高水準約3,924億円🟢本命
5698エンビプロ・ホールディングスL4/L5金属/廃プラ複合、亜臨界融合プラ処理、LiBリサイクル参入約230億円🔵準本命
9247TREホールディングスL1/L2/L5産廃売上ランキング国内首位級、タケエイ+リバー統合約729億円🔵準本命
9793ダイセキL8産業廃液・廃油の中間処理+土壌浄化、中部地盤の産廃中堅約1,964億円🔵準本命
7375リファインバースグループL5廃漁網・廃ロープ→再生ナイロンの独自ニッチ、東レ供給約53億円🔵準本命
7947エフピコL5食品トレー水平リサイクルを自社物流網で完結、CO2約2/3約1,936億円🔵準本命
6255エヌ・ピー・シーL3太陽光パネル解体装置、独自ホットナイフ分離法約171億円⚪関連
2195アミタHDL8産廃100%再資源化+CNコンサル、ダブルゼロ・エミッション約67億円⚪関連
5724アサカ理研L4福島地盤の貴金属回収専業、LiB再生事業へ横展開約139億円⚪関連
1433ベステラL2プラント解体オンリーワン、リンゴ皮むき工法・風車ブレード再資源化約92億円⚪関連
ランクの定義

🟢 本命: テーマ事業が主力 + 世界シェアトップ級 or 国内独占級 + 構造的需要への直接受益
🔵 準本命: テーマで重要な位置 + 規模 or 事業比率は中程度 + 複合事業構造
⚪ 関連: テーマに関与あり + 規模・事業比率は限定 + ニッチ/周辺/装置サポート

※ ランクは「テーマとの関与度・事業比率・世界シェア」で判定。株価騰落とは無関係。時価総額は個別ページ等で最新値を参照。

🟢 本命(全8社)

三菱マテリアル(5711)

何をしている会社か: 銅製錬と電子廃基板(E-Scrap)処理の世界最大級プレイヤー。非鉄金属+セメント+加工事業を持つ総合素材メーカー。

直島製錬所はE-Scrapの年間処理能力が11万トン規模で世界トップクラスであり、2030年には24万トン/年への拡張計画を公表している。2023年には小名浜製錬を100%子会社化、欧州統括拠点MM Europe B.V.を2024年に設立し、JX金属とのリサイクル合弁にも参画する。直島では**受入原料の100%再資源化(ゼロエミッション)**を達成しており、回収された基板の最終濃縮を担う「電子機器都市鉱山の処理最終地点」という構造的なポジションを持つ。半導体・スマホ・PCのリプレース需要が続く限り、E-Scrap発生量は構造的に拡大する。

DOWAホールディングス(5714)

何をしている会社か: 非鉄製錬とリサイクル・産業廃棄物処理を両輪で持つ環境・資源ソリューション企業。グループ売上6,000億円台。

DOWAエコシステムが廃棄物の収集・中間処理・金属リサイクルを統合運営しており、鉱山・製錬で培った技術をベースに金/銀/銅/インジウム/レアメタル等22種類の元素をリサイクル可能としている。金属回収の特許総合力ではJX金属・住友金属鉱山に次ぐ国内3位の評価で、物流→中間処理→精錬の垂直統合度が同社最大の参入障壁になる。LiBリサイクルやレアアース回収の研究開発も継続し、非鉄製錬企業が「都市鉱山」プレイヤーへ重心を移していく日本型モデルの代表格と言える。

JX金属(5016)

何をしている会社か: 半導体スパッタリングターゲットと圧延銅箔で世界シェア上位、銅製錬と都市鉱山リサイクルを一体化した非鉄大手。

銅精鉱と廃家電・廃電子機器から純度99.99%以上の銅地金を生産する。2040年までに精錬する銅のうちリサイクル原料比率を50%以上へ引き上げる戦略を掲げ、2024年4月には三菱商事と合弁会社「JX金属サーキュラーソリューションズ」を新設、廃家電・廃電子機器・廃車載LiBの再利用事業を2024年7月に開始した。金属回収の特許総合力で国内首位(出典: パテント・リザルト「金属回収 特許総合力」、取得日 2026-05-27)。半導体材料×銅製錬×LiBリサイクルの三輪構造で、AI半導体需要のスクラップ循環側を握る。

住友金属鉱山(5713)

何をしている会社か: 銅・ニッケル製錬とLiB正極材を垂直統合する非鉄大手。鉱山開発から電池材料まで自社内で完結する世界でも稀な構造。

金属回収の特許総合力で国内2位(出典: パテント・リザルト、取得日 2026-05-27)。ニッケル・コバルトの特許出願は2010年以降に急増しており、リチウムイオン電池正極材回収技術への集中投資を反映する。E-Scrap・廃LiBから**Ni/Co/Liを回収して自社正極材事業へ循環させる(Battery to Battery)**構想は、製錬と材料の両事業を持つ住友鉱山ならではの独自ポジション。EV普及で2030年代に発生する廃LiB大量化を、原料側で受け止める。

松田産業(7456)

何をしている会社か: 貴金属リサイクルと食品商社の二本柱を持つ貴金属リサイクル国内大手。半導体製造工程廃液を主な発生源とする独自構造。

半導体製造工程廃液・廃触媒・電子部品スクラップから金/銀/PGM(白金族)を回収する。「半導体製造由来」という安定した発生源を握る点が同業他社との差別化要因で、AI半導体・データセンター投資の拡大は同社の原料供給を構造的に厚くする。LiBリサイクル事業にも参入し、自治体・他社と連携してCo/Niの効率回収プロセスを実証中。直近の通期業績見通しでは貴金属事業の高稼働が利益牽引している(出典: みんかぶ業績ハイライト、取得日 2026-05-27)。

フルヤ金属(7826)

何をしている会社か: イリジウム・ルテニウムなどPGM(白金族)に特化した、グローバルニッチトップ型の貴金属専業メーカー。

有機EL発光材料の一次材料となるイリジウム化合物で世界シェア約9割HDD用ルテニウムターゲット材で世界シェア約7割(出典: 経産省METI Journal、取得日 2026-05-27)。使用済み製品から99.999%(5N)で再生する高純度化技術を保有し、全出荷量の約7割が循環型ビジネス(リサイクル原料起点)、年間生産量を上回るリサイクル能力を持つ。鉱山採掘量がそもそも少ない希少金属を、回収・精錬の独自技術で安定供給する**「都市鉱山型ニッチトップ」の典型例**として、日本ではフルヤ金属が唯一の上場プレイヤー。

AREホールディングス(5857)

何をしている会社か: 旧アサヒホールディングス。貴金属回収・精錬と環境保全事業の専業持株会社で、貴金属サーキュラー回収のピュアプレイヤー。

都市鉱山(廃電子機器/治具/めっき廃液等)から金/銀/白金/パラジウム/ロジウム等の貴金属をサーキュラー回収することに事業を集中する。先端部品リサイクルや使用済み治具の再生は、半導体・電子部品メーカーの隠れた循環インフラとして機能している。グループ会社で産廃中間処理・最終処分も担い、貴金属事業と環境事業の二輪ピュアプレイヤーとして国内では同等規模の競合がほぼいない独自ポジション。

大栄環境(9336)

何をしている会社か: 関西地盤の総合廃棄物処理プレイヤー。一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬から最終処分までを統合運営する。

産廃中堅の中でも収益性が突出しており、**経常利益率約27%**という業界最高水準を維持する(出典: バフェット・コード 9336、取得日 2026-05-27)。廃棄物処理・資源循環(収集運搬→中間処理・再資源化→最終処分)に加え、土壌浄化・エネルギー創造・森林保全・施設建設運営までを統合した複合構造。要興業(6566)を持分法適用化することで産廃+一般廃棄物の一体処理体制を構築している。最終処分場の保有数と収集運搬網という二重の参入障壁が同社の本質で、新規参入は地域行政許可と用地確保で実質的に閉ざされている。

日本の都市鉱山は、世界級の製錬技術を持つ非鉄大手が集中する稀有な領域。

🔵 準本命(全5社)

エンビプロ・ホールディングス(5698)

何をしている会社か: 金属・廃プラスチック等の資源リサイクル+グローバルトレーディングを軸に、LiBリサイクルも展開する中堅複合プレイヤー。

金属スクラップ加工で高品位品に強みを持ち、亜臨界融合技術を活用したプラスチック処理新工場、中古車輸出の併営など、複合事業化が進む。本命格までの規模はないが、複数のリサイクル領域を1社で抑える独自ポジションで、LiBリサイクル本格化局面では本命格上げの構造的条件を満たす可能性がある。

TREホールディングス(9247)

何をしている会社か: 2021年にタケエイとリバーが経営統合した総合廃棄物処理持株会社。建設系廃棄物と金属リサイクルを統合。

産業廃棄物業界の売上ランキングでは国内首位級の評価がある(出典: 株のトレ「産業廃棄物処理関連銘柄売上高ランキング」、取得日 2026-05-27)。タケエイ系の建設系廃棄物処理と、リバー系の金属リサイクル/廃家電/廃自動車/廃プラ処理を統合し、建設・解体由来廃棄物のワンストップ処理が強み。プラスチック資源循環促進法の施行を契機にプラリサイクル本格参入も果たしている。

ダイセキ(9793)

何をしている会社か: 産業廃液・廃油の中間処理を主力とする中部・関西地盤の産廃中堅トップ。土壌浄化事業も併営。

子会社のダイセキ環境ソリューション(1712)を2025年12月のTOBで完全子会社化する流れにあり、廃液処理・土壌浄化・(旧1712の)太陽光パネル処理事業が一体化することで、扱える廃棄物ストリームの幅が広がる。産業廃液という発生源の安定性(化学工場・半導体工場の稼働に連動)が同社の構造的優位点で、製造業のフロー量に対するレバレッジが効きやすい。

リファインバースグループ(7375)

何をしている会社か: 廃漁網・廃ロープからの再生ナイロン樹脂「REAMIDE(リアミド)」を扱うグローバルニッチプレイヤー。

海洋プラごみ問題に対応する**「海から海へ」型の物理リサイクル**で独自ポジションを確立する。東レへの再生ナイロン樹脂供給や、ナイロン船舶係留ロープのマテリアルリサイクルなど、用途閉ループ型の事業を展開する。サーキュラーエコノミー文脈で再評価されやすい銘柄構造で、規模はまだ小さいが希少な上場専業プレイヤー。

エフピコ(7947)

何をしている会社か: 食品スーパー向け簡易食品容器(食品トレー)の最大手。自社物流網で水平リサイクルを完結する独自構造。

スーパー店頭の回収箱で使用済みトレーを集め、配達トラックの帰り便で輸送、自社工場で再生してエコトレー®/エコAPET®として出荷する**「トレーtoトレー」水平リサイクルを確立。CO2排出は新品比約2/3に抑えられる。物流+回収+再生の3点垂直統合**が参入障壁。本業の食品容器は安定需要だが、水平リサイクル比率の拡大はサーキュラーエコノミー文脈で長期的にプレミアム化する可能性がある。

⚪ 関連(全4社)

エヌ・ピー・シー(6255)

何をしている会社か: 太陽電池製造装置メーカーから太陽光パネル解体・リサイクル装置へ事業転換中の装置メーカー。

独自の**「ホットナイフ分離法」**でセルシートとガラスを破壊せず分離し、高純度ガラスを回収する独自技術を持つ。フランス産廃処理大手にも装置採用例があり、2030年代の大量PV廃棄時代を見据えた装置先行投資というポジショニング。装置販売型のため、案件タイミングで業績は波があるが、PVリサイクルというニッチでは国内ほぼ唯一の上場プレイヤー。

アミタHD(2195)

何をしている会社か: 産業廃棄物100%再資源化とカーボンニュートラル(CN)コンサルの2軸事業。サーキュラーエコノミー文脈の老舗。

「ダブルゼロ・エミッションサービス」(単純焼却・最終処分ゼロ+GHG排出ゼロ)を企業に提供する独自ポジション。サーキュラーマテリアル事業歴は45年以上で、規模は限定的だが循環経済テーマでの言及頻度が高い。

アサカ理研(5724)

何をしている会社か: 福島県地盤の貴金属回収・精錬専業。電子部品/不良品から金・白金を抽出する。

LiBリサイクル(LiB再生事業)を新規軸として展開中で、貴金属回収技術をリチウム/ニッケル/コバルトに横展開する。サイズは小型だが、**LiBリサイクル「純粋プレイヤー」**として個性的な位置にある。

ベステラ(1433)

何をしている会社か: プラント解体特化のオンリーワン企業。電力・石油精製・石油化学・製鉄・ガスのプラント解体に専門化する。

**「リンゴ皮むき工法」**などの独自工法を保有し、風車解体時のブレードリサイクル等、解体後の素材循環まで意識した提案を展開する。リバー(TRE HDグループ)と提携することで解体→再資源化のサプライチェーンを構築。装置産業の更新需要・脱炭素関連の旧設備撤去に長期需要を持つ。

本命/準本命/関連 — 評価軸の考え方

本記事のランクは「世界シェア × 事業比率 × 構造的ポジション」の3軸で決定している。

第一に世界シェアは、グローバルで上位を取っているかという絶対指標。フルヤ金属のイリジウム9割・三菱マテリアルのE-Scrap処理能力世界トップクラスは、株価騰落とは無関係に構造的優位を生む。第二に事業比率は、当該テーマ事業が連結売上の主力か周辺かという相対指標。AREHDのように貴金属+環境という2軸ピュアプレイヤーは本命格、エフピコのように水平リサイクルが食品容器本業の派生として組み込まれている場合は準本命格になる。第三に構造的ポジションは、サプライチェーン上で抜けたら全停止する位置か、代替可能な周辺サポートかという軸。最終処分場・収集運搬許可・特殊精錬技術といった参入障壁が本命を本命たらしめる。

「出遅れ」「上昇余地」といった時宜的な株価評価軸は採用しない。動的な株価評価は記事公開後すぐ陳腐化するため、Fundabaseのテーマ株記事は構造的・固定的指標のみで分類する。

投資家が継続観測すべき構造的指標

観測ポイント

リサイクル産業の進捗は、需要側(再生資源を必要とする側)供給側(廃棄物の発生側)の2軸で観測すると構造が見える。需要側は資源価格、供給側は発生量と処理キャパシティ。

  • 銅・LME相場 — 電線・モーター需要を反映し、リサイクル銅の経済性を決める基準価格
  • 金・銀・PGM相場 — 貴金属リサイクル事業のメインドライバー。AREHD・松田産業・フルヤ金属の収益感応度が高い
  • 国内最終処分場残余容量(環境省 廃棄物処理施設の整備状況)— 産廃企業のプライシング力を決定する構造的希少資源
  • EV販売台数累計 — 10年スパンで廃LiB発生量を規定し、LiBリサイクル市場を形成する
  • 国内鉄スクラップ輸出量(産業新聞・鉄リサイクル工業会)— 国内処理キャパの過不足を映す
  • 古紙価格・古紙輸出量 — 製紙原料の循環度合いを映す古典指標
  • 太陽光パネル累計設置容量と耐用年数到達ピーク(NEDO/環境省)— 2030年代の大量廃棄スケジュール
  • 循環経済関連法制度の改正(プラスチック資源循環促進法・改正資源有効利用促進法)— 制度変更のたびに発生源・処理単価が変化

このテーマの構造的リスク

注意

リサイクル事業は資源価格に大きく感応するため、銅・金・PGM相場が下落局面に入るとリサイクル事業者の採算が悪化する。さらに中国・東南アジアの輸入規制変更で国内スクラップフローが滞ると、商社・処理事業者の在庫評価損が発生しうる。

リサイクル産業はマクロ商品市況・国際物流・各国規制の3つに同時に晒される構造を持つ。装置産業としての固定費は重く、原料(=廃棄物)の発生量と価格は製造業の景気とは逆相関〜独立相関で動くため、業績変動が業種固有のパターンを示す。さらに最終処分場の許認可は地域行政の判断であり、地域住民の反対や行政方針変更で新規開発が止まるリスクは構造的に常に存在する。

長期ではケミカルリサイクル(化学的に原料へ戻す方式)の技術成熟度がプラスチック領域の業界構造を変える可能性があり、現行メカニカル中心の事業構成は中期的に再評価される可能性がある。

要するに
  • リサイクル産業の本質は物理ボトルネック(最終処分場の残余容量 + 解体・選別・製錬キャパ)であり、装置産業として参入障壁が高い
  • 本命8社の核は金属・貴金属系の世界級プレイヤー(三菱マテリアル/DOWA/JX金属/住友金属鉱山/松田産業/フルヤ金属/AREHD)+総合廃棄物トップ(大栄環境)
  • 準本命5社+関連4社はプラスチック・ガラス・解体・LiBリサイクルの周辺領域でニッチ独自性を持ち、テーマ着火時の波及度を担保する
  • 継続観測すべき構造指標: 銅・金・PGM相場 / 最終処分場残余容量 / EV累計販売台数 / 太陽光パネル耐用年数到達ピーク / 循環経済関連法制度の改正

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