この記事の要点
  • 市場の感情は 日経VI(恐怖指数)と騰落レシオ の組み合わせで定量化できる
  • 「VI高 × 騰落レシオ低」は強い買いシグナル候補。「VI低 × 騰落レシオ高」は警戒シグナル
  • センチメントは 「そろそろ」のシグナル。タイミングの精度は低く、個別銘柄判断には使えない

市場は感情で動く

株式市場は理論的には「将来キャッシュフローの現在価値」を反映するはずだが、現実にはそうならない。短期的には、投資家の感情 ——恐怖と楽観—— が株価を大きく動かす。

問題は、多くの個人投資家がこの感情に巻き込まれることだ。市場が上がると「もっと上がる」と思って高値で買い、市場が下がると「もっと下がる」と思って安値で売る。

センチメント指標を使えば、今の市場がどの程度の楽観・恐怖状態にあるかを数値で把握できる。感情に流されない判断の土台になる。

日経VI(ボラティリティ・インデックス)

日経VI(日経平均ボラティリティ・インデックス)
日経平均オプションの価格から逆算される、市場が予想する今後30日間の年率換算変動率。米国のVIXに相当。インプライドボラティリティが高いほど市場参加者が大きな変動を覚悟していることを意味し、恐怖指数として使われる。

日経VIは、日経平均オプションの価格から算出される「市場が予想する今後1ヶ月の変動率」だ。「恐怖指数」とも呼ばれる。

水準の読み方

日経VI状態意味
15以下低恐怖市場は楽観的。凪の状態
16〜22通常平常運転
23〜30警戒不安が高まっている
30超恐怖パニック的な売りが出ている

逆張りシグナルとしての使い方

日経VIが30を超えるような恐怖状態は、過去の実績では中長期的な買い場であることが多い。市場が総悲観のときに買い、楽観のときに慎重になるのが基本戦略だ。

ただし、VIが高い状態がすぐに解消されるとは限らない。2008年のリーマンショック時や2020年のコロナショック時は、VIが高い状態が数週間〜数ヶ月続いた。

要点

VIの絶対水準よりも、VIが急上昇したあとに 反転し始めたタイミング が実際の買い場になりやすい。「VIが30超」だけで飛びつくと、まだ底まで遠い局面で買って耐える期間が長くなる。

騰落レシオ

騰落レシオは、市場全体で「値上がり銘柄数 ÷ 値下がり銘柄数 × 100」で計算される。通常は25日移動平均を使う。

水準の読み方

騰落レシオ状態意味
120超過熱買われすぎ。短期的な調整に注意
80〜120通常特別なシグナルなし
70以下低迷売られすぎ。反発の可能性

日経VIとの組み合わせ

日経VIと騰落レシオは異なる角度から市場を測定している。

日経VI騰落レシオ解釈
高い(恐怖)低い(低迷)強い買いシグナル — 市場全体がパニック的に売られている
低い(楽観)高い(過熱)警戒シグナル — 楽観の極み。ポジション縮小を検討
高い高い混在 — 一部で不安がありつつ物色は旺盛。方向感なし
低い低い無関心 — 市場参加者が少ない。ボラティリティが低く動きが小さい

Fundabaseのセンチメント機能

Fundabaseのセンチメントページでは、日経VIと騰落レシオを統合した「投資心理指数」を0〜100のスコアで表示している。

  • 0〜30: 恐怖 — 市場が売られすぎ。中長期の買い場を探す局面
  • 30〜70: 中立 — 通常の市場環境
  • 70〜100: 楽観 — 過熱感あり。新規投資は慎重に

このスコアは個別銘柄の売買判断に直接使うものではなく、市場全体の温度感を把握するためのものだ。

センチメント指標の限界

センチメント指標は万能ではない。

タイミングの精度が低い: 「売られすぎ」のシグナルが出ても、そこからさらに下がることは珍しくない。シグナルは「そろそろ」であって「今すぐ」ではない。

構造変化に弱い: 金融危機のような構造的な問題では、通常の水準感が通用しない。

個別銘柄には使えない: センチメント指標は市場全体の指標であり、個別銘柄のファンダメンタルズとは独立している。

注意

センチメント指標は 「タイミング」の補助情報であって、銘柄選定の道具ではない。市場が恐怖でも個別銘柄の業績悪化は別問題。両者を混同すると損切りタイミングを誤る。

それでも、「今の市場が楽観に傾いているのか、恐怖に傾いているのか」を定量的に把握できるだけで、感情的な判断を避ける大きな助けになる。投資で最も高くつくのは、感情に基づいた売買だ。

要するに
  • 市場の感情は日経VIと騰落レシオの組み合わせで定量化できる
  • 「VI高 × 騰落レシオ低」が買いシグナル候補、「VI低 × 騰落レシオ高」が警戒シグナル
  • シグナルは「そろそろ」であって「今すぐ」ではない。VI反転を待ち、個別銘柄判断とは切り離して使う